eラーニングの歴史とは
eラーニングのこれまでとこれから
起源
コンピューターを用いた学習は1950年代にアメリカで生まれたCAIという考え方から始まりました。CAIを日本語にすると、「コンピューターを利用した学習支援」です。集合型研修の問題点を解決する学習方法として注目されました。しかし、当時はコンピューターの普及が進んでおらず、インターネットすらなかったため、根本的な課題解決にはつながらずCAIに基づいた教育支援は進みませんでした。
発展するきっかけ
eラーニングが発展するきっかけになったのは、1990年代になって一般的にパソコンが普及したことです。パソコンが普及すると同時に、CAIはCBTという考え方に変化し、大容量のデータを教材として用いることが可能になりました。しかし、今ほど簡単に教材を用意できる環境は整っておらず、データの管理や修正、コスト面などの課題も残っており、本格的に普及するのにはまだ時間が必要な状況でした。
2000年代に大きく変化する
そういった状況が続く中、2000年に政府が打ち出した「e-Japan構想」によって大きな変化が生じました。IT社会の実現を目的に、超高速インターネットインフラの整備が進められます。2000年代はインターネット環境が大幅に変化した時代です。独自のシステムを導入する企業も数多く現れました。eラーニングも従来のCD-ROMなどからインターネットを通じた教材になり、急速に普及し始めます。さらに、学習管理システム(LMS)が登場し、オンライン上で教材を配布することが可能になったことで運営側の手間も大幅に減りました。
スマートデバイスの普及
eラーニングの歴史には、スマートデバイスの普及も大きく関係しています。スマートフォンやタブレットは、いわば持ち運び可能なパソコンです。スマートデバイスが普及したことで、場所と時間を選ばずに学習できるようになったのです。これまでは決まった場所に集まらなければ研修を行うことが難しかった業界でも、気軽に研修を受けられるようになり、介護施設でも導入が進みました。近年のeラーニングでは利用者同士で交流や支援を行える環境が整っており、生産性の向上につながっています。
これから
企業や教育現場で導入が進み、今や一般的な学習方法として普及しているeラーニングですが、コロナ禍以降はさらに勢いを増しています。心理的・技術的なハードルも以前よりは大幅に下がっています。その上で、これからの課題として挙げられるのは、対面で行っていた研修にどれだけ近づくことができるかです。また、AIの進歩が著しく進む中で、最新技術をどれだけ有効活用できるかがカギになってくるでしょう。eラーニングは時代と共に形を変えて進化しています。